父でありたい

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私の動きは止まる。 「画家として成長するために俺たちから離れたんだろ!だったら頭下げんな!父さんは俺の自慢の親父なんだよ!今も昔も!」 「亮太……」 「母さんは全部分かってたよ。それにどうせ父さんはヘタレだから自分から帰って来ないとも言ってた。だから、父さんが来やすいように俺は画家になったんだよ」 私らの回りには人が集まる。 それでも亮太は続ける。 「どんなヘタレでも父さんの背中はでかいんだよ。ガキの頃に見ただけでも今でも忘れられないよ。世界のどこにいても見つけられるからな」 「亮太、逞しくなったな……」 「当たり前だ。父さんの代わりに母さんを守ってきたんだ。……父さん、母さんは離婚届出してないんだ。帰って来てとは言わないけど……。俺を!俺らを忘れないでくれ!」
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