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序章
嘗て、世界は灰色の混沌(カオス)であった。
一本の線から生まれた光と闇は、秩序を生んだ。人々は、己の内に在る空白を埋める為、外へと歩き出していく。入り乱れた生命は自ら引いた線を越え、埋まらぬ空白に虚を詰め込んで、ヒトは永い時を彷徨い、歩き続けていた。
ヒトが輪廻の先に見出した安寧は、都市国家イスというひとつの秩序として形を作る。影をも飲み込む光の中で、人々は己の中に在る空白を光に透かし、今日も青い呼吸を繰り返して、ただ、生きていた。
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