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「あれ?お客様?」
女性店員さんが私に声を掛けてきた。
「ここの喫茶店もしかして初めて来たでしょ?」
「あっ、はい……。」
「やっぱり~。
あっ、ウチの名前は多々羅 美月!
この喫茶店の副店長をやってます!
普通に美月さんって呼んでね!
あっ、美月お姉ちゃんでも可よ!」
軽いなぁ、この人…。
「そうなんですか~。
じゃあ、隣にいる男性がここのマスターさん?」
「大正解!
マスターの名前は多々羅 遥斗!
コイツ、すんごいモテるんだよね~。
この前も近所の主婦に告られていたんだよね~。」
「ちょっ…!
バカッ!
初めて来たお客様に言うなっ!」
マスターが軽くキレながら珈琲を淹れていた。
ん?待て、さっき主婦って言ってたよね?
聞かなかったふりをしておこう…。
イヤな予感がするから。
「んで、貴女のお名前は?」
まさか私の名前を聞いてくるとは…。
また来るかわからない客の名前を聞くなんて変わっているわ…。
「袴田 永和です…。」
「へぇ~、永和ちゃんかぁ~。
可愛い名前ね!
でも、なんでこんな地味な喫茶店に足を運んでくれたの?」
「おい、こんな地味な喫茶店って言ったよな?
さりげなくディスるな。」
なんかマスターの言い方、初めて会ったときの口調と違う気が……。
あれ?
そういえば、二人共同じ名字だったよね?
夫婦だったのかよ…。
「えっ?いいじゃない別にぃ~。本当の事じゃん?」
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