雨の日は憂鬱

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「……ちゃん、……ちゃん」 隣から声が聞こえるような気がした。 横に向くと黒いズボンが見えた。 顔を探して上を見る。 直角に首を上に曲げると、背の高い私の学校の制服では無い見知らぬ制服を着てリュックを背負っている茶髪の男の子が私を見下ろしていた。 「……ちゃん、……たよ」 何か私に言ってる? イヤホンの音楽が外の音を防いでいて聞き取れないことに気付いた私はとりあえずイヤホンを外す。 「アメコちゃん、落ちたよ」 低い声がやっとクリアに聞こえてきた。 その時、彼が右手で差し出しているものにも気付いた。 その手には見覚えのあるピンク色のハンカチ。 私のだ。 きっとさっきペットボトルを出した時、落ちたのだろう。 「ありがとうございます!」 私は慌ててお礼を伝えて受け取った。 が、それより気になる…… 「あの、私、アメコじゃないですけど……」 私は少し眉を寄せながら言う。 アメコって誰?
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