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目の前の奏斗を見ると、奏斗はまだ必死に俺に手を合わせていた。
そしてふと思う。
そっか。2年のとき奏斗とは違うクラスだったから、一時でも俺と美香が仲良かったこと、こいつ知らないのか。
何だか、それもそれで複雑だ。
けれどどうしてか俺は奏斗の頼みに頷いていた。
――今回は、違う。
それは、本当に何となくだった。いわば直感というもの。
いつもの奏斗だったら、ダブルデートなんて遠回りなことはせずに、すぐ相手に声をかけ仲良くなり、告白する。
今回はどこか違う。いつものようにおちゃらけて話しているけれど、奏斗は本気だ。
脳内で何かが警戒音を立てていた。
でも、俺はそれに気付かないふりをした。
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