最終夜『性少年の決断』

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「ご、ごめんなさい。俺っ」  最悪だって、わかってる。  振り返ってみて俺って本当にどうしようもないアホで最悪。 「まじ……ごめんなさい」  苦しい、けど。 「でも、俺――好きだってちゃんと気づいたんだ」  最後の気力を振り絞って真っ直ぐ優斗さんを見た。  優斗さんは俺を見ていて、 「俺、俺……」  めっちゃくっちゃ声裏返るの覚悟して、言った。 「俺――……優斗さんのこと、好き」  って、  ……言った。  い……言ったぁぁあ!!!!!  うっしゃー!  よくやった俺!  ついに言った、俺!  ああああ、まじで心臓が壊れそうなくらいバクバク言ってんだけど!!!!!  つーか、顔真っ赤になってるよな。  寒いのに顔すっげぇ熱い。  あああ、言った。  言ってしまった!!!!!!  ついに告白して一気にテンパった俺は――まったく優斗さんの反応がないことに、気づいた。  きょとんとして顔を上げて優斗さんを見ると、優斗さんは呆けたように俺を見ている。 「……優斗さん?」 「……え? あ、えと……あの、捺くん、俺のことが好きなの?」 「へ? う、うん。お、俺もずっと……優斗さんのこと好きでしたっ」  真っ赤になって叫ぶ。  けど、優斗さんはまだぽかんとしていて。 「……どうかした?」  まさか半日で俺のこと嫌いになったとか!?  って焦ってたら、 「えっと……さっきの"ごめんなさい"っていうのは?」  そう訊かれた。 「あれは……その、優斗さんの好きかもって気づいてたのに……智紀さんに流されるままにヤって……後悔してるから。それで謝ろうと思って」 「……」  いくら百戦錬磨な智紀さんに迫られたって、本当は流されるべきじゃなかったって思う。  智紀さんは優しくって楽しいし、好きだけど、"友達"としてだったんだから、快感にながされるべきじゃなかった。 「……ほんとごめん。でもちゃんと、智紀さんとは話してきたから! ちゃんと、ゆ、優斗さんのことが好きだって言ってきたから!」  優斗さんに会う二時間前、6時に智紀さんと待ち合わせて話してきた。
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