桜の木の下で

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慣れないことやってしまったせいか倦怠感が体を包む。だが手応えはあった。 俺の弾丸がそこそこ速いとは言え、元々それだけで倒せるとは思っちゃいなかった。 だからわざと無駄だと思えるほど撃ち込み、弾のイメージを固定化させたのだ。 塊として、点として飛んでくるというイメージを。 だが今しがた放ったそれは、散弾のように分かれ面での攻撃に特化させた物。 塊のイメージとして刷り込めた状態なら流石に防ぎようのない筈……! 「……危うく食らう所だったわ、あんたにこれ使うことになるとはね」 小さな竜巻のような中からヨシノの声が響いた。 「おいおい嘘だろ……?! 何故食らっていないんだ? 」 「四気を全身に纏いそして廻る、それだけよ。 家の秘技みたいなもんなんだけどね」 気怠そうにヨシノはその竜巻からするりと現れた。 その瞬間竜巻はふっと周りに溶け込むように消える。 「これ疲れるから本当はしたくなかったんだけど。あんたがあんなもん撃ってくるから使うしかなかったじゃない」ヨシノはため息をつきながら首を一つくるりと回す。 「まぁ、良い思い出になりそうだから良いけど」 そして少し悲しそうな表情で笑った。 その瞬間視界にいるヨシノが急に大きくなる。 否、目にも止まらぬ速度で俺へと迫っていたのだ。 俺が構え直すより早く懐へと潜り込まれる。 (速いっ! ガードが間に合わな……! ) そしてずんと鳩尾に右の正拳突きが深々と突き刺さった。 胸元に広がる鋭い痛みで声も出なかった。 その瞬間正拳から吹き出した暴風が俺を弾き飛ばす。 数十メートル地面を跳ねながら飛ばされ、大きな桜の幹に背をぶつけやっとの事で止まった。
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