2人が本棚に入れています
本棚に追加
慣れないことやってしまったせいか倦怠感が体を包む。だが手応えはあった。
俺の弾丸がそこそこ速いとは言え、元々それだけで倒せるとは思っちゃいなかった。
だからわざと無駄だと思えるほど撃ち込み、弾のイメージを固定化させたのだ。
塊として、点として飛んでくるというイメージを。
だが今しがた放ったそれは、散弾のように分かれ面での攻撃に特化させた物。
塊のイメージとして刷り込めた状態なら流石に防ぎようのない筈……!
「……危うく食らう所だったわ、あんたにこれ使うことになるとはね」
小さな竜巻のような中からヨシノの声が響いた。
「おいおい嘘だろ……?! 何故食らっていないんだ? 」
「四気を全身に纏いそして廻る、それだけよ。 家の秘技みたいなもんなんだけどね」
気怠そうにヨシノはその竜巻からするりと現れた。
その瞬間竜巻はふっと周りに溶け込むように消える。
「これ疲れるから本当はしたくなかったんだけど。あんたがあんなもん撃ってくるから使うしかなかったじゃない」ヨシノはため息をつきながら首を一つくるりと回す。
「まぁ、良い思い出になりそうだから良いけど」
そして少し悲しそうな表情で笑った。
その瞬間視界にいるヨシノが急に大きくなる。
否、目にも止まらぬ速度で俺へと迫っていたのだ。
俺が構え直すより早く懐へと潜り込まれる。
(速いっ! ガードが間に合わな……! )
そしてずんと鳩尾に右の正拳突きが深々と突き刺さった。
胸元に広がる鋭い痛みで声も出なかった。
その瞬間正拳から吹き出した暴風が俺を弾き飛ばす。
数十メートル地面を跳ねながら飛ばされ、大きな桜の幹に背をぶつけやっとの事で止まった。
最初のコメントを投稿しよう!