瑠璃丸

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「こうして自分の意志で風呂に入るのは随分と慣れました。ですが、本番は母さんに抱えられ、意志を伝えることも出来ず洗われるのです! 大丈夫でしょうか? ぼくは暴れずにいられるのでしょうか・・・・・・」 「瑠璃丸さん」  福之助が微笑みかける。 「信頼しているご主人なのでしょう?」 「はい」 「触れる手の平は温かく、語りかけてくれる声は心地良いんじゃありませんか?」 「あぁ・・・・・・! その通りです」 「大丈夫。安心して身を預けてごらんなさい」  ーーその後、瑠璃丸がどうなったかだと?   聞くのは野暮ってもんよ。なんせ、この辺りじゃ大の風呂好き猫で通ってる。もちろん猫の噂じゃねぇ。人間の『ご近所話』ってやつでな。  まぁ、たまに『招き堂』へ寄っては、足湯を楽しんでやがるが、その辺は大目に見てやってくれ。 ー完ー
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