雪割草

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 三ヶ月前、転校初日の放課後のことだ。  僕は何の気なしにグラウンドで練習をしている彼らの楽しげな姿を見ていた。  サッカーは好きだったけど、だからって部に所属するつもりなんてこれっぽっちもなかったから、本当にただぼんやりと見ていただけ。  転校を繰り返す生活事情の為、僕は今まで正式に何処かのクラブやチームに所属したことはなかった。たまに助っ人として参加することはあっても、僕はいつもお客様だったから、今回もきっとそうなるだろうと思っていたんだ。  金網に手をかけ、じっとグラウンドを見つめていた僕の姿に最初に気付いたのは光基だった。  小雪のちらつく中、僕はきっと物欲しそうな目をしていたんだろう。いきなり、フェンスを乗り越え僕の所に走ってきた光基は、強引に僕をグラウンドの中に引っ張り込んだ。 「紅白戦兼ねたミニゲームやってるんだけどさ、メンバーが一人足んねえんだ。ちょっと手伝ってくれねえか? 晋」 「……僕で…いいの?」 「お前がいいんだよ」  その時、素直に頷いたのは、光基が真っ直ぐに僕を見て晋と呼んでくれた所為だった。
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