7人が本棚に入れています
本棚に追加
いつも、転校して最初の一週間ほど、僕のあだ名は“転校生”だった。
ようやく覚えてもらって、名前を呼ばれるようになって、友達づきあいが始まった頃、僕は次の地方へ旅立った。
いつも、いつも。
それが当たり前で、そのことに疑問なんか持ったことなかった。
それなのに。
彼らは、みんな最初の日から、僕を晋と呼び、友達として扱ってくれた。
もともとサッカーは好きだったけど、何だか、その時、僕は初めて本当のサッカーをしたような気がしたんだ。
パスを受ける。パスを出す。
ただ、それだけのことがこんなに嬉しかったのは初めてだった。
そして、その日のうちに彼らは僕を、助っ人ではなく、正式な部員として迎え入れてくれた。
僕が転校を繰り返している事情を説明しても無駄で、
「一ヶ月だろうが半年だろうが関係ないよ。晋はもうオレ達サッカー部の一員なんだ。お客様でも助っ人でもない」
光基は笑ってそう言った。
最初のコメントを投稿しよう!