雪割草

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「オレ達、みんな兄弟みたいなもんだから」  光基がそう言った時、やけに羨ましかった。  僕は永遠に言うことはないだろうその言葉を、何のてらいもなく発する光基が羨ましかった。  でも、その次の言葉は、そんな僕の気持ちをひっくり返すのに充分値する言葉だった。 「晋、お前ももう、オレ達の兄弟だからな」  そう言って雪の中で笑った光基の顔を、僕は一生忘れないと思った。  それ以来、雪が好きになった。  雪の中で肩を並べて歩くのが好きになった。  初めて、雪を冷たいと思わなくなった。
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