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せっかくミカちゃんが恋路を全力で突き進んでいるのです!
という訳で全力で湿度を上げさせて頂きますっ!
「…なんか喉の調子が良くなってきた!
よぉし!頑張るぞーっ!」
頑張って下さいね!ミカちゃん!
…ですがそれから暫く経つと、ミカちゃんの元気な声は、お風呂場の中に響く事が無くなりました。
…あの日の事は、良く覚えています。
デートの服と思われる気合の入った服のまま、ミカちゃんは湯船の張られた私の中に入って、ジャーッ!っとシャワーを全開にしたのです。
ミカちゃんの目は、真っ赤に腫れていて。
「…ひっく、ひっく」
そんな目からは、今でも、とめどなくぽろぽろ、ぽろぽろ、大粒の涙を流していて。
…ミカちゃんと彼氏さんが別れてしまった事は、明白でした。
…私は、付喪神。
私からミカちゃんに何かを言う事は出来ませんし、私がミカちゃんの為に何かをする事は出来ません。
…本当に、口惜しい。
もし私に何か言える口があれば、千万億の言葉を使って、ミカちゃんを励ます事が出来るのに。
もし私に何かをする事が出来るのなら、今すぐにでもミカちゃんの彼氏を呪い殺してやるのに。
…そんな私に出来る事は、お風呂の温度を人肌に…けして、けして冷めない様にし続ける事だけ。
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