とあるお風呂のひとりごと

4/7
前へ
/7ページ
次へ
 …今の私には、そんな事しか、出来ないのです。  その翌日の、学校帰りの事。  ミカちゃんはさっぱりとした顔で私の中に入って来ました。  どうやら前の彼氏さんの事は吹っ切れた様です。 「あーあいつの顔一発ぶん殴ってすっきりしたーっ!」  …パワフルに育ちましたねミカちゃん…。  それが私は嬉しくもあり、なんだかちょっと寂しくもあったり…。  やがて大人になったミカちゃんは、私の中に入る時間が不定期になりました。  お仕事で忙しい様で、目の下に真っ黒な隈を作ったり、お風呂の中で寝てしまったりしていました。  …たまに、悔しそうな顔で私の中に入る事もありました。  けれどざぶんと頭のてっぺんまで浸かり、少し潜ってぶっはぁと私の中で立ち上がるミカちゃんの顔は、とても晴れやかで。  そうしてまた、ミカちゃんはお仕事に向かっていくのでした。  ある時から、ミカちゃんはぱったり、私の中に来る事はありませんでした。  どうかしたのでしょうか?  …もしかして、ミカちゃんが重い病気になってしまって、そのまま…。  なんて暗い思考になってしまっていると、お父さんが入って来ました。  ざぶんと私の中に入ったお父さんは、どこか嬉しそうな顔をしています。     
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加