第1章

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 蘭ちゃんはいつもご機嫌斜めだった。ワンワン吠えて、僕の手を噛み、脚を噛み。おてんば蘭ちゃんは餌の時だけ甘えてくる。でも餌ばちにドッグフード入れようとすると手を噛む。蘭ちゃんの気持ちが解らなかった。  蘭ちゃんは孤独だったのだろうか。家族は蘭ちゃんのことを家族だと思っていた。  ある日、僕は蘭ちゃんの夢を見た。  夢の中で蘭ちゃんは僕の脚にスリスリしてきた。どういう気の回しだろう?  僕は地面に胡座をかくと蘭ちゃんは僕の足の上でお座りをする。  蘭ちゃんのうなじをマッサージしてあげると、気持ち良さそうに目を閉じる。 『ツンデレでごめんね』  蘭ちゃんが亡くなってからだけど、初めて心が通じ合った。 ――数ヶ月後、二代目の番犬、華ちゃんが家にやって来た。  華ちゃんもツンデレだ。蘭ちゃんを思い出す。
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