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「ヒロはいつも同じセットしか頼まないよな~オレは今日のスペシャルセット、麻婆カレーだぜ」
とやけに自慢げに裕也が言ってくる。
「それ…美味しいのか?」
裕也の持っているトレーを覗いてみると、
白米の上に麻婆豆腐とカレーがかけられたものがひとつの皿の上にのっていた。
絶対美味しいって!とうるさく言ってくる裕也の言葉を聞き流し、僕は空いている席を探す。辺りを見回すと、食堂の窓際の長机に生徒二人が丁度席を立つ姿があった。
「裕也、席見つけた」
向かい側には女子二人が座っているが、
他に空いている席がないのでしょうがないか、と思いその席に向かう。
「すみません、ここ座ってもいいですか」
制服のリボンからして同じ学年か。
でも、見かけない顔だから僕の近くのクラスではないことだけが分かった。
「あ、はい。どうぞ」
と、二人がこっちを見る。
瞬間、僕はこれ以上ない驚きと、嬉しさでいっぱいになった。
奥の席に座っていた女子は、先週、思わず僕が写真を撮ってしまった「彼女」だった。
奇跡だ。
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