第三章

3/4
前へ
/12ページ
次へ
 翌日は戦闘行動特別休暇と言うことで完全オフ(な、良い職場だろ?)。朝から天気も回復し絶好の洗濯日和となった。そして気が付くと、猫は居なくなっていた。洗濯物を干そうと窓を開けておいた隙に出て行ったらしい。  やれやれ、猫は気まぐれとはこういう事か、名前も考えていたのに、な。若干の喪失感を感じはしたものの、正直、事の成り行きにほっとしている自分も居た。昨日の事もある。動物の世話は嫌いではないが、現実の問題として、この仕事をしながらペットを飼う事は難しいだろう。  さて、コーヒーでも淹れるかな…そう思って台所に向かう「ん…?」何やらベランダの方が騒がしい。そう思って目を向けて見ると、カラスが数匹、何かに群がっている。ギャアギャアと騒がしい声に混じって、聞き覚えのある、か細い声が…。  「ミーちゃん!」声と足とが同時に動いた。慌ててベランダに靴下のまま飛び出し、手近にあった箒を引っ掴んでカラスの群れに殺到する。格闘すること数分、自分もあちこちを噛まれたり突かれたりしながらも、何とか全部を追い払った。ぐったりしている猫の首根っこを思わず掴んで部屋に転がり込む。窓を閉めた途端、戻って来たカラスが、窓に体当たりする勢いで突っ込んでくる。どう見ても、それは異常な光景であった。     
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加