第二章

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 ローバーは作業用のメカと言っても、戦闘時の後方支援も兼ねて設計されている。機動性には欠けるが、火力は全地球防衛隊の中でもトップクラスだ。怪獣の足止めをするのが目的だから当たり前といえば当たり前、そして、今がまさに、その時である。俺たちは撃ちに撃ちまくった。と、俺が狙いすまして放った砲弾が怪獣の目に炸裂した。悲鳴を上げて倒れる怪獣。「やったぜ!」と雄叫びを上げたその時、倒れた怪獣のツノが怪しく光り、放たれたビームがローバーを直撃した。  たちまち鳴り響く警報音。あちこちから火花が散る。「防御バリア、オーバーロード!」「エンジン停止、動けません!」「怪獣から第二撃、来ます!」皆がてんでんばらばらに叫ぶ。俺は必死で主砲の照準を合わせ直し、引き金を引いた。が、何の反応もない。もはやこれまでか、全員が覚悟を固めたその時、怪獣のツノにどこからか飛来したミサイルが命中し、木っ端微塵に吹き飛ばした。  「…足止めご苦労様!後は俺たちに任せろ!」無線から声が響く。同時に鋭いジェットの音を響かせて、幾つもの飛行物体がローバーを掠めて怪獣めがけて殺到した。  「やれやれ、やっと来てくれたか…」誰の声か、ひょっとしたら自分が我知らず漏らした言葉だったかも知れない。機体のシルエットに見間違いは無い。地球防衛隊が誇るエリートチーム、イーグルのお出ましだ。  ローバー内につかの間、安堵の空気が流れる。が、こうしては居られない。自分の身は自分で護らなければ。大わらわで修理を始める俺たちに、ゆっくり戦闘の状況を見守るだけの余裕は無かった。漸く、火気コントロールの制御が復活した頃には、怪獣との戦いにもケリが付きつつあった。     
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