第三章

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第三章

 何とかローバーを修理して基地に帰投した俺たち。だが帰ってみれば、溜まった疲労が倍増する様な、残念な結果が待ち受けていた。なんと、俺たちが怪獣と死闘を繰り広げていた、まさにその間にウィルスの解析結果が出て、人体にとって無害だと言う事が確認されたと言う。  「つまり、俺たちはまんまと、敵性宇宙人が遺した最後っ屁みたいな罠におびき出された、とこう言う訳ですかね?」  「まあまあ、そうぼやくな。」班長が苦笑いしながら言う。「医療班の徳永博士も言っていたよ、『今回は無害だと解ったからと言って、将来このデータが役に立つことだってある。』俺たちの努力は無駄じゃないって事だ。」  釈然としない思いを抱いたまま、俺は家路についた。基地の職員は基本、どこに住もうと勝手と言う事になっていて、俺もシャトルで30分程の某市内にアパートを借りて住んでいる。表向きは、普通のサラリーマンと何ら変わりのない生活を営んでいるという訳だ。  とにかく心身共に疲れ切って居たし、雨は降って来るは気温は急に下がるわ、で正常な判断力が少々鈍って居たのは素直に認めるにやぶさかではない。     
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