焦り

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焦り

キャリーバッグを置くと、二人はソファに座り込んだ。 開けたカーテンの間から東京タワーが見える。 「…明日からまた仕事だね」 慶太郎の肩に寄りかかりながら、蓮は慶太郎を見上げた。 「そうだな。…ほら、先に風呂入っておいで。俺は荷物を片付けておくよ」 ソファから立ち上がると、キャリーバッグを開けて中の荷物を整理し始めた。 しゃがみ込む慶太郎の背中に蓮は後ろからしがみついた。 「慶太郎の背中おっきいね」 足を怪我して、おんぶしてくれた時もそう思った。 大きくて、安心する。 「ほら、早く入っておいで」 慶太郎は、背中の蓮を特に気にも止めずに整理を続ける。 つまんないな。 だってさ…背中に胸が付いてるわけじゃない? もう少し反応してくれてもいいのに。 あっ! 蓮はいいことを思いついた。 無言で立ち上がると、お風呂場へと駆けて行った。
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