1411人が本棚に入れています
本棚に追加
/304ページ
焦り
キャリーバッグを置くと、二人はソファに座り込んだ。
開けたカーテンの間から東京タワーが見える。
「…明日からまた仕事だね」
慶太郎の肩に寄りかかりながら、蓮は慶太郎を見上げた。
「そうだな。…ほら、先に風呂入っておいで。俺は荷物を片付けておくよ」
ソファから立ち上がると、キャリーバッグを開けて中の荷物を整理し始めた。
しゃがみ込む慶太郎の背中に蓮は後ろからしがみついた。
「慶太郎の背中おっきいね」
足を怪我して、おんぶしてくれた時もそう思った。
大きくて、安心する。
「ほら、早く入っておいで」
慶太郎は、背中の蓮を特に気にも止めずに整理を続ける。
つまんないな。
だってさ…背中に胸が付いてるわけじゃない?
もう少し反応してくれてもいいのに。
あっ!
蓮はいいことを思いついた。
無言で立ち上がると、お風呂場へと駆けて行った。
最初のコメントを投稿しよう!