もう一つの幸せ

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「どうした?」 「…私も部屋に戻る……」 「眠い?」 蓮は小さく頷いた。 嘘だ。 本当は眠くなんてない。 なぜか無性に、慶太郎の近くにいたいと思った。 早く二人になって、抱きしめて欲しいと思った。 きーにいちゃんがマリちゃんをさらって行ったように、慶太郎にも私をさらって欲しいと思った。 「…じゃあ、俺らも戻るわ」 慶太郎は立ち上がると、蓮の手を握って立ち上がらせた。 「おやすみおつかれ!」 口々にそう挨拶すると、蓮と慶太郎も浜野たちの部屋を後にした。
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