もう一つの幸せ

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「マリ!」 サエは立ち上がるとマリを追いかけた。 「どうしたの?」 何事かと、ルリコも席を立ってこちらへやってきた。 「マリちゃんが…」 追いかけようと蓮も立ち上がった。 「サエちゃんがね、万里の顔が俺を好きで仕方ない顔だって、嬉しいことを言ってくれたんだけどね。ほら…万里は蓮と違って繊細な子だから…照れて部屋に戻ってしまったんだよ」 桔平はニヤリと笑うと横目で蓮を見た。 「私と違ってって!…確かに…マリちゃんは…」 蓮は口を膨らませると、桔平を睨んだ。 「蓮は万里と違って、すぐ怒るし甘ったれだからな。なぁ?」 桔平は、隣の席に座った慶太郎にイタズラな瞳で話を振った。 「…いや…それは…あの、でも…甘ったれが蓮のいいところでもありますし…」 しどろもどろに話す慶太郎を蓮は睨んだ。 「…ほら、追いかけてやれよ。万里は、たぶん今頃どうしたらいいんだか、悩んでるぜ?」 桔平の言葉に、蓮とルリコもマリの元へと向かった。
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