もう一つの幸せ

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静かにお茶を飲む桔平を慶太郎は見つめていた。 「…桔平さん、余裕じゃないですか」 横目で慶太郎をチラリと見ると、またニヤリと笑った。 「当たり前だろう。愛されてるんだ、悪い気はしないじゃないか」 そう言い切る桔平をもう一度ジッと見つめると、慶太郎もお茶を手にした。 「でもな……俺も部屋に戻るよ」 「まだいいじゃないですか」 ゆっくりと立ち上がる桔平を慶太郎は見上げた。 「万里が俺の部屋を訪ねてきて、俺がいなかったら可哀想だろう?ちゃんと、出迎えてやらないとな」 そう言ってウィンクすると、桔平も部屋へと戻って行った。 その背中を見送ると、慶太郎はぬるくなったお茶を一気に飲み干した。 蓮が戻ってきて、俺がいないと寂しがるから…俺も戻るか。 慶太郎も席を立ち上がった。
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