焦り

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「ねぇ、慶太郎」 「うん?」 慶太郎は後ろから腕を回すと、蓮の手を握った。 「これから、毎日一緒にお風呂入ろうね」 「……うっそ…マジで?いいの?」 「うん…」 蓮は身体の向きを変えると、首に腕を回していつものように慶太郎にくっついた。 「蓮は風呂でもくっつき虫だな」 慶太郎の手が背中から腰を優しく愛撫する。 「……私、お礼を言ってなかった」 蓮は顔を上げると慶太郎の顔を見つめた。 指で眉毛に触れる。 困った時に少し下がるこの眉が好き。 少し吊っている目尻のスッとした二重の目が好き。 男らしい、少し尖った鼻が好き。 薄くもなく厚くもなく、口角が上がって引き締まった口が好き。 逞しい首から形のいい顎も好き。 「ステキな結婚パーティーをありがとう」 切なげに微笑む慶太郎の顔が近づいてきた。 蓮はそっと目を閉じた。 唇が重なる。 羽毛のように優しく触れて、離れた。 「ベッド…行こうか?」 蓮が頷くと、慶太郎はもう一度キスをした。 今度は柔らかい舌が絡んだ。 慶太郎の唾液が口に入る。 それすら愛おしいと、一滴も逃したくないと、蓮は思った。
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