心構えと現実と

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 それもタローという歳の離れたオジサンと二人で、だ。例え何があっても、その間は誰も此処にはやってこれない。  いくら仕方ないとは言え、正直なところ『若い女性』であるユーナとしては『この状況』は結構なストレスだと思う。別にタローを信頼していないとか、人格を疑っているワケではないが、それでも100%を信頼できるというほどユーナはタローの事を知ってるわけではないのだ。  一見の客では無い以上、よほどの事は無いと思うが、何しろ相手は『長くひとり暮らしをしている男性』だ。『若い女性と二人っきりで邪魔が入らない状況』となれば、何かの拍子に気の迷いから『万が一』という事態になる可能性だって否定は出来ないと思う。  もしも『そう』なれば、いくら年齢差があったとしても体力に劣る自分に勝ち目は無いだろう。それは考えておかなくてはなるまい。  だとすると、この半年間は物理的にも精神的にもタローと一定の距離をとりつつ、安全の確保に努めなくてはなるまい。ヘタに隙を見せると相手に付け込まれる危険性だってあるのだから。  だが、同時にこの距離感は難しいとも思う。  何かのハズミでタローに嫌われるような事にでもなれば、この狭い空間でユーナは孤立してしまう。その場合、食料その他で嫌がらせでもされれば、それこそ生命に関わることになりかねない。     
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