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だが今回は、そうした『最悪のパターン』は回避出来たようだ。
「おうっ、毎度! 今回はユーナちゃんか、待ってたぞ。ドッキング・ベイと軸心を合わせてくれ。接続の準備をするよ」
返ってきた元気な声のヌシは、まぎれもなく灯台守のタローだ。
「……お願いします」
ユーナは少しホッとした。
ガコン!
連絡船と宇宙灯台のドッキング・ベイが繋がる。
プシューと空気の抜ける音がして、二重になっているハッチが開いた。
「こんにちわー! お久しぶりです。タローさん、お元気でしたか?」
連絡船側から、ユーナが灯台側に入ってくる。
「ああ、お陰様でな。何しろ元気以外に取り柄の無ェ人間だからさ」
見覚えのある頬こけた髭面、反対側にはタローが待ち構えていた。
「……ん? 今回はアンタだけなのか?」
タローがドッキング・ベイの向こう側に眼をやる。
「ええ。本来、長距離輸送は3人組が基本なんですけど、1名が出航直前に熱を出してしまって。それと、もう一名は『この近く』のエウロパに降ろして来たんです。積荷のチェックに時間が掛かるので、此処までは『近いから私一人で充分だろう』という事で」
「ふーん、そうかい。単独航海はお勧めしないが、そういう事情じゃぁ仕方無いな。なら、此処が終わったらすぐにエウロパへ?」
タローはユーナを気遣うように尋ねた。
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