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「ああ、いい。アンタ、そこにいろよ。オレがここから荷物を『投げる』からさ。アンタは飛んで来た荷物を受け止めて、宇宙灯台側に投げ込んでくれりゃ良い。……どうせ、ここに残ってるのは全部オレのなんだろ?」
タローが残り少なくなっている荷物を見渡す。
「ええ、いつも通り此処が最後の配達先ですから」
少し遠慮がちに、ユーナが答える。
ほどなく、タローが投げた荷物が無重力の空間をフワフワと漂いながら、ユーナの手元にやって来始めた。ユーナはそれをキャッチすると、ドッキング・ベイを介して宇宙灯台側へ送り込んだ。
「ちっ! 頼んだ水は4ケースだったか……」
タローが舌打ちをする。
「どうしました? 数が足らないとか」
ユーナがやって来て、隣で覗き込む。
「いや……実は浄水機が『詰まり気味』でさ。処理するのに時間が掛かるんだよね、最近。だから余分めにあると良いなと思ったんだが……まぁ、いいや。何とかなるだろう」
ふーっ……と溜息をつきながら、タローが顔を上げた。
「OKだ。端末をくれ、サインしておくわ」
「ありがとうございました。では、こちらサインを下さい」
ユーナが物品の一覧を表示している端末機を差し出す。
「おう、これで良いか?」
「ありがとうございます」
タローが差し出す端末を、ユーナは一礼をして受け取った。
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