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初めて君と出会ったのは、桜の木の下。
学校の近くの小さな公園に、美しく咲き誇っている桜の大きな木は、私達にとって『特別』な桜の木なんだ。
──
中学2年生。4月。
私は憂鬱な気持ちで、いつもの公園に来ていた。
クラス替えがあった。そのせいで、数少ない仲のいい友達と話されてしまったのだ。
しかも、席の隣は話したことも見た事もない転校生。
私の気持ちは最悪と言っていいほど、下がっていた。
私の気持ちをいつだって癒してくれるのは、学校の近くにある小さな公園から見える、美しい景色だった。
綺麗な夕焼けや、綺麗な海。冬は山一面に真っ白な雪が絵の具で塗りつぶされているように綺麗に染まっている。
その景色を眺めることが私の習慣であり、趣味だった。
しかし、春は特別だ。
春には公園のど真ん中に立つ大きな桜の木が、ピンクや白色の花弁を付けて、美しく咲き誇っている。
それはもう、幻想的な美しさだった。
今日も帰り道。1人で公園に寄って桜を眺めていた。
ここは学校から死角になっていて見えないし、あまり人は通らない。
人見知りの私にとって、最高の場所だった。
それなのに……。
「あんた、隣の人だよね?」
「え、ええっと……」
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