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あっという間に1年が終わっていく。
夏が終わり、秋が終わり、冬が訪れる。
白い雪がちらちらと降って、道に薄く積もっていく。
私達はいつも通りの公園に来ていた。
桜の木の下のベンチに座って、いつも通り話している。
しゅんやくんの話はすごく面白くて、好きだ。
でも、今日のしゅんやくんの様子はどこかおかしかった。
「でさ……」
なぜだか、いつもより元気がない気がする。
私は気になって問いかけてみた。
「しゅんやくん、今日元気ない?」
「……大丈夫だ」
「無理しないで? ほら、話してみてよ」
私はふわっと笑って、彼の顔を覗きこんでみる。
彼の表情は、不安げでどこか泣き出しそうだった。
私はその顔を見て、不安になる。嫌な予感がした。
それでも、彼の言葉を待った。
しゅんやくんは、ゆっくりと口を開いて、私に告げた。
「俺、また転校することになった」
嫌な予感が、的中した。
転校……?
離れちゃうの……?
怖くなった。体が微かに震える。
「……そ、うなんだ……」
上手く声が出ない。
なんて声をかければいいのかも分からない。
嫌だ、なんて言っても現実は変わらないし、じゃあね、なんて突き放しても悲しくなるだけだ。
現実は……難しい。神様は、意地悪だ。
「あのさ、さき!」
しゅんやくんはなにか迷っているような、顔をして私の腕を掴んだ。
「俺も、夢があるだ。だから、一緒に叶えよう! 俺の夢と、お前の夢」
私は呆然と彼の顔を見た。
そっか。しゅんやくんも不安なんだ。
夢を叶えるために必死なんだ。
私は、嬉しくなった。彼と一緒ならなんでもできる気がする。
「うん! 頑張ろう!」
もしも、願いが叶うなら。
私は、貴方とずっと繋がっていたい。
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