飛んで火に入る酔っぱらい

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そのまま引き下げられて乱暴に唇がぶち当たり、逸は目を見開く。 「ーーーーんんっ、」 逸が思わず呻いた。ーーあまりに情熱的で。 が、その開いた唇にもっと深く食いつこうかと思った瞬間に、あまりにもあっさりと身を引かれ逸はつんのめった。 がくりと傾いだ上半身を、支えでもするかのように敬吾が抱きしめる。 「け……、敬吾さん?」 本当にどうしたと言うのか、この人は。 あまりに困惑してしまって逸は嬉しいだとかときめくだとかを忘れてしまっていた。 ただ困惑しながらも、そっと敬吾の腰に手を添える。 と、敬吾の顔が首元にすり寄せられた。 (うおぉ…………!) やっと動悸がし始める。 それがひとつ打つごとに、どろついた劣情が体にめぐるようだった。 「敬吾さん、ほんとどうしました?」 「………………」 「ギューしたくなっちゃった?」 敬吾は何も聞いていないようだった。 ただ薄ぼんやりと、逸の体温と風呂上がりの匂いを感じていた。 逸もそれを分かってかしばし何も言わず、にやけながら敬吾を抱きしめていた。
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