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「ごちそう……さまでしたっ…………」
「やーもういっちー良い食べっぷりー!お姉さん嬉しくなっちゃうわー」
「おいしかったです………」
ご満悦の桜、ぐったりとした逸、苦笑する河野、俯いて笑いを堪える敬吾がぞろぞろと駐車場へと出てくる。
桜はまた当然のように来た時と同じ振り分けにしようと逸を捕まえていたが、逸は慌てて敬吾の方へと歩み寄った。
荷物を置いているのでとかなんとか言っている。
桜は不満げながらも納得したらしい。
敬吾は先に運転席についており、危うく逸が乗る前に発進するところだった。
「ちょっとーーーー!」
「あっはっはっ!悪い悪い、あー面白かった……」
「鬼ですか!もう!」
敬吾は笑いすぎていて運転どころではない。
ハンドルにもたれかかってしばらく笑っていた。
「いつまで笑ってんですか…………」
「やー、だってずっと笑い堪えてたからもー、はー腹痛い」
涙すら浮かべて笑っている敬吾を、逸は恨めしげに、しかし少々赤らんで横目に見ている。
敬吾の爆笑はなかなかに貴重なのだ。
敬吾としては、自分以外を相手に逸があそこまで慌て切っているのを見たことがない。
第三者の目線で見るのもまた妙に強烈に面白いものだった。
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