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「恋愛感情とかではないですけど、あんだけ綺麗な人だと見惚れるとかはあるもんなんですね、ビビるっていうか……敬吾さんに初めて会った時みたいだった」
「へーーー……。」
「女の人だってこと考えたらそれ以上ってことになるのかなあ、俺敬吾さんちの遺伝子に弱いのかな」
「なんだそりゃ」
さすがに笑ってしまいつつ、赤信号で敬吾がブレーキを踏む。
車が完全に止まると、逸の手が太腿に乗った。
「っ!」
「止まってる間だけ」
「っーーーー」
「でも好きなのは敬吾さんだけです……」
突然静かなトーンで呟く逸に、敬吾は驚いて肩を揺らした。
いきなり何を言い始めるのかーーー。
顔が熱くなってきたのをごまかしたくて、敬吾は内側に滑り込んでくる手を掴んで持ち主の元へと返品した。
既に信号も変わって2台前の車は動き始めている。
逸は、相変わらず元気一杯とは言えないまでも楽しげに笑っていた。
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