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「ところでさ、いっちーってゲイの人?」
「えっーー」
「あっごめんね無神経で!でも偏見とか全然ないからね、ただそうかなって思って」
「ああ、いえそれはべつにーー」
逸は心底驚き、慌てていた。
質問が不躾だとか失礼だとかは全く思わないし隠すつもりもないが、今日は敬吾が一緒だーーーー
「ーーーーや、違い……ますよ?」
「んー、じゃマニアック趣味系?あたしこの顔してていっちーみたいな反応する人あんまいないよ」
「あっ!!?そうーーー、かあ………」
雷に打たれるように、なるほどと逸が思う。
勘や思い込みではなく、桜の言い分はある意味証言だ。
敬吾も似たようなことを言っていたし、これはごまかせそうにないーーと、逸は半ば観念してしまった。
そして後で敬吾に何と言えば良いのかと、底知れない不安がひたひたと湧き上がってくる。
ーーが、黙っていればいるほど最悪の形で敬吾に迷惑をかけるような気がして、逸はただ口を開いてみたり閉じてみたりしていた。
なぜ自分は今までこうも開けっぴろげにしてきたのだろう、少しか隠そうとしていれば、こんな時の対処も自然にできたのではーーーと、今考えても仕方がないことにまで思いを馳せてしまいながら。
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