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座れということだろうか。
敬吾の方を伺い伺い逸が腰を下ろすと敬吾が立ち上がった。
ややよろけて逸の膝を開かせ、その間に自分も腰掛ける。逸が目を見開き、笑った。
「ふふ…………」
敬吾の腰に手を回し、その肩に頭を乗せる。
今日は甘えたがりなのだろうかーーー
背中が暖かくなり、敬吾は少し眠くなっていた。
三割ほど残っている缶を、手の中で弄んでいる。
ぬるくなってしまう前にぐっと飲み干すと逸の手がその缶を取り上げ、倒す心配のないベッドのボード部分に置いた。
自由になった手を貝殻のように繋がれ、腿を撫でられゆっくりと揺らされて、敬吾は更に眠くなる。
のんびりと瞬きをしていると背後で逸が笑った気がした。
「敬吾さん、眠くなってます?」
「んー、ちょっとな……」
自分の体温が眠くしているのだとは、この男は思わないのだろうか。
自分の特性をいまいち分かっていない。
「じゃあ今日シャワーだけにしましょうね」
「えー、」
「え、風呂入ります?じゃあ俺と一緒ですよ?危ないから」
「んん」
(あれ、いいんだ)
敬吾の肩に唇を埋めたまま横目に敬吾の顔を見上げ、逸がぱちくりと瞬いた。
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