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「ごちそうさまでした、うまかったー……」
その言葉尻がほわほわと歪んでいき、大あくびに変わる。
子供でも見ているようで、敬吾は苦笑した。
「はいよ。俺片付けるから休んでろ」
「え、大丈夫ですよ」
「いいって」
立ち上がろうとする逸の頭をぽんと叩き座らせると、敬吾は手際よく皿を運んでいく。
それをやや呆然と見送り、やはり逸も立ち上がった。
何やら甘えさせて欲しいようなーー
わがままを聞いて欲しいような、子供じみた気持ちになっていた。
「……敬吾さん」
「んー。座ってろって」
横顔のままに応える敬吾の背中を逸が抱きすくめる。
首筋を逸の舌先が這って、敬吾はスプーンを取り落とした。
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