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ーーそれから二週間。
逸は予想を裏切って大人しく時の経過を待っていた。
「あーあー……敬吾さんがエッチさせてくれないから元気が出ないよー……」
時折、このような嫌味にもつかない弱音は吐いているが。
「助けてチョコパンマーン……」
「確かにあれパン屋で売ってるのだいたい中身チョコだよな。あんこ入れろよ」
「…………。下手にあんこ入れると魂宿るのかもしれませんよ」
「ああなるほどな」
背中から敬吾に抱きついている逸は、器用に無視されてがっくりと肩に顔を埋めた。
「危ねえって、どけ」
カップに湯を注ぎながら言った敬吾が、ぴくりと目尻を震わせる。
肌には触れないが、逸の手がゆるゆると腹を撫でていた。
震えてしまいそうな手元が危うくてケトルとカップを置く。
「…………おい、」
「敬吾さんの服……」
「は?」
「探してるんですよ今……通販のサイト見まくって。ブラウスとかスカートとか」
「えっ、」
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