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「うお、っと……いたのか。ただいま」
「お帰りなさい」
敬吾の部屋には逸がいた。
自分の夕飯の下準備をしていたらしい。
「何食うの」
「うどんです、敬吾さんは?」
「ピザ」
「あー、いいですねえ」
「テイクアウトできたら持ってくるか?」
「え、やったー!」
子供のように笑う逸が微笑ましい。
ぱふぱふと頭を撫でてリビングへ行くと、さすがにまだ食べ始めるわけでもないらしく逸も付いてきた。
「敬吾さん」
「んー」
バッグを置きながら逸の方を振り返ると、逸は腕を広げて笑っている。
「充電」
「……………」
ひとつため息をついてその腕に収まると、逸が嬉しげに腕を閉じた。
敬吾の髪に頬を埋めて、逸は深く呼吸をする。
しみじみとしたその風のような音が敬吾を妙に緊張させた。
「……お酒飲みます?」
「いや、やめとく……」
「んーーー、いーこーーーーー」
ーーいや、お前を警戒してるんだよ。
嬉しげにぐりぐりと顔を擦り寄せる逸をよそに敬吾は半眼である。
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