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薄暗い部屋の中、蕩けきった敬吾の声が満ちる。
あまりに切なく甘いそれを堪えるのも、もう諦めて久しかった。
体の中も外も逸に埋め尽くされて、理性を取り戻す隙は無いのに優しい快感は果てることも許してくれず、敬吾が出せるのは声だけだった。
とろとろと指の背が体中を滑る。
薄くて甘い快感が敬吾を弛緩させるが、深く逸を飲み込んだそこだけは甘えるように吸い付いてしまう。
それが恥ずかしくて、緩みきった唇がはしたなくて泣きたくなるのだが、逸の手が。
慰めるように、撫でるからーーーー
「あ……………っ」
温かくて、痺れるほど気持ちがいい。
けれど、際どいところには触れられない肌が、興奮しすぎてひりつく。
「んぅっ、……ぁー……っ、いち、ーー……」
「はい……」
「やぁ……、ーーいたい、」
「ーーえ?どこですか?」
陶酔しているようだった逸は顔を一気に引き締め、軽く諸手を上げた。
敬吾の表情は確かに蕩けながらも僅かに苦しげだが、今日は歯どころか爪の先すら触れていないはず。
繋がりあったそこも、良く濡らされたまま柔らかく吸い付いていた。
逸が心配そうに首を傾げてまた呼びかけると、敬吾は肩を縮めて切なげに手の甲を口にあてる。
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