祝福と憧憬

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泣き出しそうなその表情がどくりと逸を脈打たせ、体の奥に響くそれが敬吾を啼かせた。 「ん……………っ!」 「敬吾さんーー」 頬を撫でてやると、敬吾がそれに擦り寄る。 「っいたい、勃ちすぎてて……痛い…………、」 「ーーーーー、」 数秒呆然とした後、逸は舌なめずりでもしそうな笑みを浮かべた。 「ああーーーーー、」 逸がその体を見下ろし、どんなに醜悪な表情をしても呼吸するだけで精一杯の敬吾は気づく由もない。 「ーー本当だ、ここ…… ……乳首もですね。こんな真っ赤になって」 逸の指先が近づき、敬吾が鋭く声を上げた。 「触ってませんよ?」 くすくすと笑われ、敬吾はもう赤面する他ない。 「触ってほしい?」 「!……やだー……!」 「そうですね……、こんなの触ったらめちゃくちゃにイっちゃいそう」 ふっと冷たく息を吹きかけられ、敬吾は死にたくなるほど恥ずかしい声を上げた。 拳を固めて顔を隠す敬吾を眺めて、逸は大層楽しげに笑う。 「……もう敬吾さん、どこ触ってもヤバいんじゃないですか?」 「ぅ……っばか………!」 「どこでイキたい……?」 「ーーーーーー!」 吐息交じりの、深くて静かな声はまるで魔法のように生々しくその先を敬吾に想像させた。 次に逸が触れる感触を、そこから快感が迸るさまを。 それがどこだとしても、怒涛のようなーーーー 「ふ………っ、や、やだ、声、」 「出ちゃう?」 必死で頷くあどけなさがかえって妖艶だ。 その従順さがたまらなく愛おしくて逸が顔を寄せると、内部が僅かに動かされて敬吾は泣きたくなる。 「じゃあ……苦しいですけど、塞ぎましょうね」 「ぁ……………」 とろりと唇を見つめられ、逸はまたきつく眉根を寄せて歪んだ笑みを浮かべた。 「どこがいい……………?」 ーーこんなことの、注文を取られるだなんて。
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