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「ん……………」
「……あ、おはようございますっ」
「んん……………」
敬吾が目を覚ました時、逸はとっくに起きていたらしく傍らに半身を起こしてにこにこと敬吾を眺めていた。
いつまで経ってもこれは、慣れない。
この上なく無防備な状態を意識の外から眺められているというのは………
一体どんな顔をしていたものやら。
「シャワー浴びましょうか」
「んー。んーー?」
間延びした敬吾の返事に逸が破顔する。
「立てますか?」
「……………立て、るよ」
緩慢としていた敬吾の雰囲気が気恥ずかしそうにきゅっと引き締まり、氷土でも踏むような慎重さで体を起こしながら足を下ろした。
逸は苦笑しながら見守っている。
立てないわけがない。
昨夜は別に、やたら激しかったというわけではなかっーー
ーーやめておこう。
「……ほらぁ立てたー。」
「そんっな自慢げに!」
「うるせーよ……」
心底楽しげに笑いながらベッドの上に起き上がり、逸は敬吾を抱き寄せた。
「……でも一緒に入りますけどねー」
「えぇ………」
静かに言い含めるような口調が、歌っているようなのに有無を言わせない。
諦めたように逸の頭をぽんぽんと叩き、敬吾は満面の笑みの逸に手を引かれてため息をついた。
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