酔いどれ狼

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「ほら、腕上げろ」 シャツを捲り上げながら敬吾が言うと、逸は素直に両腕を上げた。 そこまで上げられると敬吾の手が届かないほど上げた。 「上げすぎ!」 「えへへー」 「…………。」 そう小柄でもない自分を見下ろすくせに、赤ん坊のように笑う逸を敬吾はぽかんと見返す。 一体なんだ、この酔い方は。 延々見つめてしまいそうなので意識して俯き、敬吾は逸のバックルに手を掛けた。 「あー、敬吾さんのえっちー」 「はいはいえっちえっち」 本当に汗だくになったらしく、まだいくらか湿っているジーンズが貼り付いてしまって落ちていかない。 膝をついてそれを引き下げ、下着も下ろすと逸も足を上げる。 ごく当然のことだが今の逸がそれをすると妙に賢く思えた。 「ほれじゃあ入ってこい。」 「えっ!」 「俺ついさっき入ったばっかなんだよ。もっかい脱ぐのめんどくさい」 明らかに責めは敬吾にあるが、逸はしょぼんと肩を落として素直に浴室に入る。 そのまま戸も閉めずにシャワーを出し始めるが、転んでも危ないので敬吾としても監視はしておくつもりだった。が。
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