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突如振り返った逸が、戸先に立っていた敬吾に一瞬シャワーを向ける。
「わっ!!」
「あはは!」
「何してんだお前はー!」
顔にも飛んだ飛沫を拭いつつすっかり濡れたスウェットを見下ろしていると、逸は擽ったそうに目を細めてその敬吾に笑いかけた。
「敬吾さんもー」
「…………………っ」
先に騙し討ちしたのは自分である、敬吾は強く非難できない。
そこを責めるでもなく無邪気な逸の笑顔がまた、敬吾を誠実な気持ちにさせる。
渋い顔のまま服を脱ぎ始める敬吾を、逸は浴槽に腰掛けてにこにこと見守っていた。
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