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ベッドの上、自分の肩を押す逸の顔を敬吾は掬うように見つめていた。
やはり酔ってはいるのだろう、逸の表情は余裕がなく既に興奮しきっている。
「岩井、お前大丈夫…………んっ!!」
不調法に指で割り入っておいて、敬吾が鋭く声を上げ肩を縮めても悪びれもしない。
「っあ、…………っちょ、っと岩井、…………っ」
苦しく敬吾が諌めても形ばかりに小さく返事をするだけで、少々乱暴な濡れた音のほうが大きいくらいだった。
「なに、いきなりすぎる、だろっーーんっ!」
「ん……すみません、もう……入れたくて」
「!」
苦笑しながら、逸は久しぶりに敬吾の顔を見る。
それが、限界まで興奮しているくせに優しげで、切なそうでーー
敬吾は言葉を飲む他なかった。
どうしてこうこの男は判断力を鈍らせるのだと、胸中に悪態をつきながら。
その不服そうな敬吾の顔が、自分を甘やかしてくれている時のものだと朧げながら逸は確信していた。
嬉しくて愛しくて爆発してしまいそうだがーー
そのたおやかな喜びを、毒々しい征服欲が侵食していく。
この人にそんな表情をさせられるのも、我儘を聞いてもらえるのも、快楽を刻みつけてやれるのも自分だけだーー。
「ん…………っ」
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