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「敬吾さん、かわいい……」
強引ではあるがそうしていつものように囁く逸に、敬吾は眩しそうに目を細めた。
怖いようで、やはり安心するようで、心がさざめく。
どういう気持ちでいれば良いのか分からない。
かと言って逸に預けてしまうのはーー
ーーきっと溺れてしまう。
「……敬吾さん、入れていい?」
掠れた声で呼ばわれるとやはり背中が震えた。
ほとんど触れられていないだけに、更の肌に熱が走る様を嫌と言うほど自覚させられて敬吾は歯を食いしばる。
「…………っ、どうせ、聞かねえくせに……………っ」
必死に声を引き絞る様子が、どうしようもなく逸の腹の底を掻き立てた。
どんな表情も可愛いが、こうして快楽に抗おうとする顔は格別に好きだ。
「……敬吾さんに、いいよってゆってほしいの」
ーーそれが、完全に溺れて淫らに歪んだところは、もっと好きだ……………。
「…………敬吾さん?」
「っ……………」
「入れていい?」
敬吾の唇を啄みながら、逸は熱い先端をひたひたと押し当てる。
鼻薬でも嗅がせるように。
「………っやだ、」
「あれー」
興醒めしたように顔を引き、逸は指の背で敬吾の頬を撫でる。
くしゃくしゃに引き攣った顔は無論、本心から言っていないことの証左でしかないが。
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