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結局敬吾の了承もなくその中に押し入って、逸はゆさゆさと思い知らせるように敬吾を揺すぶった。
「あ……………っ」
「敬吾さん、入れちゃいましたけど……」
仰け反った敬吾の顔を見下ろし、楽しげに笑いながら逸が言う。
「イヤがってたのに、気持ち良さそうですね」
「っうるさい!」
厭味ったらしく言い聞かせられ、腹は立つのにその間も容赦なく擦られ、敬吾は泣きたくなった。
この情けなさも恥ずかしさも既に顔馴染みの付き合いだが、それを逸に煽り立てられるとなるともう、本当に顔から火が出そうなほど居た堪れない。
けれど今日は逸が妙に駆け足だ。
あまり敬吾に構わずただ性急に突き上げていて、これなら早いところこの羞恥から解放されるかもしれない。
それだけが救いだった。
実際そうしていつもとかけ離れたーーしかし冷たくない逸の抱き方は、敬吾の絶頂も近めていた。
ただ簡潔な快感だけが、順調に加熱していく。
結局は何も考えられなくなって身を任せてしまっている敬吾を見下ろす逸の瞳だけが、ただ剣呑だった。
「………敬吾さんって」
「う、………?」
少なくとも表面上は優しい逸の声に敬吾が視線を向けると、やはり優しくはあるがその皮一枚下がどうも怪しい逸と目が合う。
敬吾がピクリと強張ると、今度は心底嬉しげに逸が笑った。
「いじめられるの好きですよね?」
「好きじゃねえよ!!!」
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