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普段基本的には底抜けに優しい、なんとなれば少々情けない逸に強引に抱かれるのは確かに、不思議な昂揚があった。
自分の意思が物の数にも含まれないほどの熱量で求められ、水や呼吸に近い水準で必要とされているような面映い感覚。
まるで物のように所有されているのだと思い知らされるような、歪んだーー恐らく、歓喜。
それらは否定できなかったーー
そしてまさに今現在その只中に飲み込まれてしまっていて、もう何も考えられなくなっている。
自分の鼓動と呼吸があまりにうるさくてーーー
「……敬吾さん、今言って、くれたら俺……甘いのに、しますよ?……………」
ーーどうにかこうにか、希少な精油でも抽出するように絞り出した逸の最後の気遣いも、聞こえなかった。
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