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重く大きく揺さぶられ続けて、その度体の芯が揺らぐ。
自分が蜃気楼にでもなったような気分だった。
その熱の中幾度も敬吾が逸を呼び、その声にふと違う響きを感じて、逸は敬吾の中心を手に取る。
「っん………!」
「敬吾さん、いきそう?震えてますね」
そこを撫でられるのは、久しぶりだった。
優しく擽ったい触れ方に敬吾の肩が縮み、切なげに眉根が寄る。
声も更に艶を増して、逸の方はいかにも意地悪げに笑った。
「……触られるとちょっと辛い?」
どこかからかっているような逸の言葉に、その不穏さには毛ほども気づかずに敬吾は頷いた。
快感であることは間違いない。
けれど、両腕を左右から引かれるような、緩衝のない刺激に捕らわれているような感覚。
既に無い敬吾の余裕はさらに削り取られるばかりだった。
「……敬吾さん、すごい締まってる。やばい……」
「っ…………!」
逸の声からも余裕がなくなり、律動が激しくなる。
こうして素直に自分の体に快感を見出されることも、なにか擽ったいような気持ちになった。
きっと嬉しいのだろう。
けれどそれを自覚してしまうとやはり手に負えない感情のような気がして、できなかった。
敬吾はただ、激流のような熱と快感に体を預ける。
その果てはもう、すぐそこだったーー
ーーが。
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