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「……………っ!!?ーーんーーーー………!!!」
「あーー…………」
昇り詰めたと思ったその先に、快感と解放感はなかった。
目の前が、激しくちらついて明るいような暗いようなーーー
「え…………っ、なに、やーーー………!」
「敬吾さん……、綺麗です」
うっとりと陶酔したように敬吾の顔を見下ろし、逸の顔は緩んでいた。
が、その手は腱が浮くほど強く、未だ膨張したままの敬吾のそれを握り込んでいた。
その先端は、悲痛に震える割れ目が不完全な射精を繰り返すように僅かばかりの雫を零し続けている。
その代わりに双眸が大粒の涙を零した。
「なにっ?いちっ、逸ーー…………!」
「敬吾さん、可哀想に……」
そうは言うくせに、細かく痙攣する敬吾を解放してやる気はないらしい。
未だうっとりとその様を眺め、逸は圧迫は緩めないままにもう片手でそこを撫で上げた。
敬吾が小さく、しかし鋭く叫びを上げる。
長いことそうして嬲られて、逸の手がようやく止まった頃にはぐったりと手も足も捨て置くように放り出し、張り裂けそうな呼吸だけを繰り返していた。
そして逸の手に奪われていた感情が敬吾の中に戻ってくると、改めて涙が溢れ出す。
「……っう、……ぅーー………」
「敬吾さん、辛い?イケないですもんね」
ぼんやりと聞こえる逸の問いかけに、敬吾はどう応えて良いのか分からなかった。
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