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「ーーーっ敬吾さん……………」
ーー何度も何度も呼ばれながら揺すられて、敬吾は本当にそれが自分の名前なのかどうか分からなくなってしまっていた。
あまりに熱く、心酔したような響きを含んでいて、どうも逸を通すと自分という存在が妙に高尚なものになってしまう気がする。
その瞳を通せばやたらと美しくなるらしいし、唇を通せばこんな風に震えるような響きを伴ってしまう。
現実味がないほどだった。
その浮遊感と、相反する溺れそうな快感の混沌で木っ端のように翻弄される。
文字通り必死に喘いで逸にしがみつくことでしか、もう自分を繋ぎ止めておけない。
「逸ーー……」
「……ん、はい………」
蕩けそうに顔を綻ばせ、逸は返事をして敬吾に口付けた。
可愛くて愛しくて仕方がない。
甘えるように伸びる舌を存分に絡み付けると、敬吾の呼吸が蕩けるように柔らかくなる。
たまらなくなって強く突き上げると、嗚咽のような、鼻にかかった甘い声が漏れた。
そのまま深く深く打ち付け、固く膨らんでいる乳首を摘むと敬吾が大きく仰け反る。
喉の奥で悲鳴のような声が押し潰されて、苦しくて涙が溢れた。
それでも逸は手を緩めず、怒涛のような快感に襲われる。
唇は解放されたが、これに抗ってはきっと飲み込まれてしまうーー。
敬吾はただ身を委ねて陶酔したような声を上げ続けた。
「敬吾さん………」
ああ、可愛い………。
体を預けきって、敬吾はもうただ湧き水のように唇から声を溢れさせることしかできなくなっている。
ーーそれでも逸は、跪きたいような気分だった。
この人を悦ばせたい。望んでいるもの全てを注ぎたい。
明らかに絶頂に迫る表情に顔を寄せ、逸は一層深く突き上げて囁いた。
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