後藤の受難

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「はぁ?」 寸分違わず、敬吾は逸と同じ反応をしてみせた。 後藤が苦笑し、逸は頷く。 三人は今、夕方のファミリーレストランで飲み物だけを囲んでいた。 「なんだそれ、後つけられたりしてんの?」 「いや、そういう感じじゃない。なんかこう……見られてんなって思うと、視界の端っこにいたりする」 「へえ」 「のが結構あってさー」 後藤は確かに女性にモテる。 モテるが、それは学生時代の話だ。 よほどでなければ、中学、高校くらいのやんちゃな人種は大体モテる。 現在の後藤はーー見てくれは悪くないが、万人受けする類ではなく……下手すれば遠巻きにされる方だと思うのだが。 そうして敬吾がまじまじと後藤を見ているのを、逸は苦々しく横目で眺めている。 「で……どうしたくて俺ら呼ばれてんの?」 敬吾が本題に入った。 少々の厄介事で、誰彼呼び寄せて大騒ぎしたいタマでもあるまい。 逸も頷くと、意外なほどに後藤は困った顔をしてみせた。 やはり数の中に敬吾が入ると、その他大勢は無条件で「頼る側」に回ってしまうようだ。 その割に、後藤は「ちょっと待ってて」とだけ言って席を立ってしまう。 少々唐突ではあるがーー煙草か手洗いかだろう、と逸も敬吾も気にしなかった。 そうして今回の件について大した内容もない話をしていると、背後から後藤が戻ってきた。 敬吾よりいくつかーーいや、逸よりいくつか年下に見える小柄な男の子を連れて。 「いるんだよね」 「「えっ」」
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