後藤の受難

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「え………男?」 「そうだよ、だから君らに相談したの」 後藤に腕を掴まれて連れてこられた人物は、背丈こそ女性並みに小柄なものの色を失った顔は確かに男性だった。 「ちょっとそっち座らせてやって」 捕まえておきたいわけでもないが、なんとなく奥の席を勧め、敬吾を後藤と並ばせたくない逸は後藤とともにその向かいに腰を下ろす。 敬吾は座りながらその彼を流し見るが、どうもそういう非常識なことをしでかしそうには見えなかった。 驚いているからか上気しているが、どちらかと言えば恐縮しているような顔をしている。 「ええと……、あのーーーー柳田と、言います」 小動物のような幼い見た目からは意外なほど、彼ーー柳田は落ち着いた口調で名乗ってみせた。 やはり不安そうではあるが。 意外そうに瞬いた後、後藤はごく気軽に口を開く。 「俺になんか用でもあった?」 が、柳田は緊張したように口をつぐんでしまった。 「お兄さん別に怒んねーから。言ってみ」 丸きり子供扱いである。 柳田は叱られてでもいるように肩を縮め、しばらく逡巡した後ようやく口を開く。 「あの……自分この見た目なので、よく絡まれるんですけど………以前そちらの方に、助けていただきましてーー」 逸と敬吾が意外そうに後藤を見るが、後藤が一番驚いていた。
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